【データ利活用支援事例】tance株式会社様

将来的なデータビジネスに先駆けて、今すべきことを明らかにしてくれた

店舗運営を行う事業者に対し、決済端末などのデバイスを介して様々なサービス提供を行うことで、店舗運営をサポートするtance株式会社様(以下、tance)。JCBグループの強みを活かし、このサービスプラットフォーム事業を展開する会社として、2020年に設立されています。将来的にはデータビジネス事業の展開も検討されており、データ利活用支援事業を開始したマクロミルにご相談をいただきました。データビジネスを構想するにあたり、どのような課題があり、マクロミルがどのようなご提案を行ったのか、tance代表取締役社長である池田様と、マクロミルでデータ利活用支援事業を立ち上げ、本プロジェクトのオーナーでもある瀬川にお話を伺いました。

tance株式会社

代表取締役社長 CEO
池田大輔
※以下敬称略

株式会社マクロミル

データマネジメントプラットフォーム事業本部
DX Buddy事業部長
瀬川順弘

JCBグループの強みを活かした、店舗とサービス提供事業者をつなぐプラットフォームづくり

― tance様は2020年に設立されていますが、どのような経緯があったのでしょうか。

池田:
私は、2003年に株式会社ジェーシービー(以下、JCB)に入社し、新規事業開発や経営企画の業務に従事、2020年11月のtance設立の際に同社へ出向し、現在は代表を務めています。

JCBグループは、キャッシュレス関連の事業を中心に展開してきましたが、キャッシュレス決済がこれだけ国内でも広がり、当たり前のものになりつつある中、今後のキャッシュレスの更なる普及には新たな取り組みも必要ではないかと考えています。そうした中、主にクレジットカード加盟店様を対象に新しいサービスを付加し、キャッシュレス自体の価値を総合的に高めていくために作った会社がtanceです。
クレジットカード加盟店様は、カード業界にとって非常に大事なステークホルダーですが、このコロナ禍において売上が落ちてしまった店舗様も多くいらっしゃいます。私の個人的な想いになりますが、tanceの設立前から、そういった店舗様向けに、今までできなかった形での貢献を、こういう時だからこそやるべきじゃないかと思っていました。まさに今それをやることがtanceのミッションだと考えています。

― サービスプラットフォーム事業として、具体的にはどのような店舗運営支援を行っているのでしょうか。

池田:
JCBグループには、数多くのクレジットカード加盟店様との契約や店頭に設置しているクレジットカード決済端末、各カード会社様をはじめとしたキャッシュレス関連事業者様との協業関係といった資産があります。tanceは、この資産を活用しながら、店舗様に対してDX(デジタル・トランスフォーメーション)化の推進や、売上向上に資するサービスを取り次ぐことで、店舗運営の支援を行っており、これを「サービスプラットフォーム事業」と呼んでいます。具体的には、各サービスを提供する「アプリ」のマーケットを作り、店舗様がお持ちの決済端末などのデバイス向けに、そのアプリを配信したり、紹介したりすることが主な事業です。

また、もう一つ、良いサービスを店舗様に届けたいという側面もあります。サービスを提供する事業者が、良いサービスや技術を持っていても、会社の歴史が浅かったり、営業チャネルが乏しかったりすると、店舗にサービスを導入する機会は限られてしまいます。tanceが提携するカード会社様などはすでに店舗様との接点があるため、tanceが店舗と事業者の間に入ることで、店舗側からすると様々な良いサービスを取り入れられる環境を整えることができ、良いサービスお持ちの事業者からするとサービスを提供する販路を得られるといった、双方にメリットが生まれます。「店舗」と「サービスを提供する事業者」の両側面の支援をし、n対nでつなげていくプラットフォームとなることを目指しています。

データの価値を見極めるには、客観性が必要

― すでにサービスプラットフォーム事業の次のフェーズも考えられているそうですが、どのようなことを検討されているのでしょうか。

池田:
tanceを立ち上げる当初から、「将来的にはデータビジネスを」という構想を持っていました。今はサービスプラットフォーム事業から始めていますが、この事業が成長をしていけばデータも貯まっていきますし、それをうまく活用することで、次のフェーズのビジネスにつなげられるのではないかと。ただ、データビジネスは、中途半端にやったところで上手くいかないかもしれない、とも思っていましたね。

― データビジネス事業の検討にあたって、具体的にはどういった課題をお持ちだったのでしょうか。

池田:
データ利活用には、客観性がとても重要だと思っています。実は自社が持っているデータの良さって、自分たちでは気付きづらいと思っています。あくまでも本業があり、そのためにデータを使うという考えが根付いているため、どうしてもバイアスがかかってしまったり、本来隠れているデータの価値に自分たちでは気付けなかったり。それに、データビジネスでマネタイズをしていくには、コツや工夫などのノウハウが必要だと思うんですよ。なんとなく「保有しているデータを売ったら稼げるんじゃないか」という簡単な世界ではないはずです。そのため、ノウハウを持っていない自分たちでやることは難しいと思っていました。また、tanceは社員数がまだ少ないので、正直検討する余力もなくて。これは専門性を持った会社にご支援いただくのが最短距離だと考えていました。

― そこで、マクロミルにご相談をいただいたのですね。マクロミルを選んでいただいた理由は何でしょうか。

池田:
相応の専門性が必要だと考えていましたので、データビジネスに長けている複数社から提案いただきましたが、マクロミルの提案が最も具体的なイメージを持つことができましたね。ここまでビジネス化していきたいし、確かにtanceで実現できそうだとも思いました。
委託期間が3カ月と短かったので、コンサルティングをお願いすると分析やレポートで終わってしまうことも多いのですが、マクロミルはビジネスモデルを描き、それを実現させていくステップも提案をしてくれました。マクロミル自身がデータビジネスやリサーチを展開されているからこそ、説得力がありましたね。どうせやるんだったら、当たるか外れるかわからないけど、具体的なイメージを提案してくれたマクロミルにお願いしようと考えました。

提案には、データの質とアウトプットの質に徹底的にこだわった

― ご相談を受けて、ご提案までどのように進めたのでしょうか。

瀬川:
提案にあたっては、社内で何度も深い議論を重ねました。プロジェクトの開始を見据えて、提案の段階では内容を出し過ぎないという提案の仕方もあると思いますが、今回は、今自分たちが考えられることは出し尽くした方がいいと考えました。というのも、その後のプロジェクトを短期間で進行することが分かっていたので、すべての可能性を出し尽くしてから進めた方がプロジェクト期間を有効に使えるだろうと。
また、チャレンジングな取り組みということも分かっていたので、提案の段階でなるべく具体的なものを出し、安心していただこうという思いもありましたね。無事マクロミルをお選びいただいたときは、自分たちの選択が間違っていなかったと安心しました。

― そこからプロジェクトが始まっていったのですね。

瀬川:
プロジェクトが始まり、週1回の定例会議で都度テーマを決めてtance様とマクロミルでディスカッションを行いました。情報が足りない場合には、マクロミルでデスクトップリサーチや有識者インタビューを行って情報を増やし、再度ディスカッションを行う、というサイクルを繰り返しました。内容自体は突飛なものではなかったと思いますが、いわゆる3C分析(顧客・競合・自社の分析)のフレームに沿って進めていきました。
まず「自社」として、今tance様の中にあるデータはどんなもので、今後取得できるような可能性があるデータはどのようなもので、それをどう使えるのかといったことを分析しました。tance様の内部で、すでにご実施されていたこともあったかと思いましたが、改めて私たちの目も加えて、それが価値あるものなのか、ビジネスに資するものなのかを評価していきました。「顧客」や「競合」については、マクロミルの強いクライアントネットワークを活かし、想定顧客企業、提携先候補企業、業界における有識者に対して、インタビューやヒアリングを行いました。そこから仮説が生まれたり、顧客ニーズを把握したり、将来的な示唆も得ることができています。
これらの3C分析の情報に加えて、考えつくビジネスモデルをアウトプットし、tance様の将来的なデータビジネス展開のための、グランドデザインを構築していきました。

池田:
デスクトップリサーチだけでなく、これからデータの販売先になるだろう企業様に対しても、多面的にリサーチ・分析いただいて、非常に説得力がある内容でした。マクロミルの持てる力を駆使しながらまとめてくださって、とても参考になりましたね。

瀬川:
データの質とアウトプットの質にはこだわりましたね。私たちがプライドとして持っていたのはまさにそこで、インターネットから拾える情報は、二次情報、三次情報だったするので、リサーチ会社でもある私たちの矜持として、一次情報にあたらなきゃいけないことは意識していました。限られた期間の中でしたが、企業や有識者へのインタビューは計6件行っています。そこから得られたテキストデータや動画データをどのようにアウトプットすると、今回の与件にとって適切な知見を得られるのか、それをどのようにまとめていくのかということにも知見があるので、私たちの強みを活かせたかなと思います。

今何が必要か、クリアになったことが最大の成果

― ご提案させていただいたプロジェクトは進行しているのでしょうか。

池田:
社内の色々な動きがあり具体的な取り組みはこれからですが、大事だと思うのは、それがうまくいくかどうかではなく、そのプロセスで議論したポイントは何なのか、何を我々が重視すべきなのか、そういった点がクリアになったことだと思います。

瀬川さんから、tanceのビジネスの発展には、「プラットフォーム事業を成長させる」、「データを収集し貯めていく」、「新たなマネタイズをしていく」という3つのサイクルがあり、最後に辿り着くのは、tanceを通じた店舗・加盟店様への新しい体験や価値提供によって、良い循環、エコシステムを作っていくことだという話があったのですが、これはtanceに無かった発想です。サービスプラットフォーム事業でもデータビジネス事業でも、収益を得られることを目指しますが、それはビジネスを支える店舗・加盟店様や、サービスを提供する事業者様に対して、手法は違えど、何か価値を提供した結果であるという、本質的なところをきちんと見ながら事業を考えてくことが必要だと改めて思いましたね。

また、将来のデータビジネスにおけるtanceの可能性に具体的なイメージが持てたので、それを見据えて戦略的に注視すべきことや、気をつけるべきポイントも分かりました。今対応しないと後々ボトルネックになってしまう点や、これから顧客となりうる業界へのアプローチなどの助言も多くいただきました。そういった感覚を今のうちから持てるようになってきたことが、このプロジェクトの最大の成果なのかもしれません。事業計画も策定いただきましたが、計画数値が高いとか低いとか、妥当かどうかなんて実はそんなに大事じゃなくて、今お話したような、我々が今時点で必要なことがインプットできたことが成果だと思いますし、それをどう具体的なものにつなげていくかは、これからしっかり考えていければと思います。

瀬川:
池田様からのご相談は、データビジネスにすぐに取り組むというよりも、将来的にデータビジネスを進めるために今何をやっておくべきなのか教えて欲しいというものでした。多くの経営者の方と接する機会がありますが、今のtance様のような段階でそのような発想をされているということに、池田様の視座の高さを感じました。
多くの企業様からデータ利活用についてご相談をいただきますが、データなら何でも良いということではなく、価値のある、“使えるデータ”が集まっていないことには始まらないんです。「ビッグデータ」という言葉が浸透してもう十年以上が経っていますが、その中でもデータ利活用がなかなか進まないのは、とりあえずデータを集めていればいいと思われていることが要因の一つで、業界の課題としても感じています。
tance様にこの時点でご相談いただけて、それ以降につながるご支援ができたことは、非常にやりがいを感じましたね。池田様がお話されたような成果にもつながって、たとえ以降はマクロミルが伴走しなかったとしても、その最初の重要となるポイントとして関われたことに嬉しく思いますし、誇りに感じています。

池田:
事業を始める前の今だからこそできることってあると思うんです。私の経験上、事業として一度固まったものができた後に、何かを足すことってハードル高いんですよね。出来上がったものに対して何かを付け加えるためには、何か変えなきゃならない。そこがボトルネックになって思うように進まないことは往々にしてあります。ですが、tanceはこれからやろうとしているタイミングなので、あらかじめ将来のことを考えながら今やれることをしっかりやれたら、将来スムーズに次のビジネスに移行できるんじゃないかと考えていました。

事業を共に進め、本当のパートナーとなることを目指したい

― 今後、マクロミルに期待することはありますか?

池田:
この先tanceがどこまでデータビジネスを展開できるか分かりませんが、今回のようなコンサルの立場ではなく、事業も一緒に行うパートナーとして携わってもらえたら面白いんじゃないかなと思います。データビジネスの領域はやはりプロがいないと成り立たないですが、自社でその人材を抱えるのは非常にハードルが高いんです。人材を提供するだけでなく、事業を立ち上げて、人もお金もリスクもすべて一緒にやっていきましょうというくらいまで踏み込んでいただけると、本当の意味でのパートナーになれるのではないかと思います。そこに行き着く努力はしようと思っていますので、そのタイミングになったらまたご相談したいですね。

瀬川:
今回はコンサル領域のご相談でしたが、マクロミルのメンバーには、実際の現場で一緒に動くことが得意なメンバーの方が多いですし、そのようなご支援をさせていただいている企業様も非常に多くいらっしゃるので、tance様ともぜひより深くご一緒したいですね。
tance様のように、ビジネスの設計から関わらせていただくと、私たちの価値も出しやすいですし、さらにそこから一緒に進めていけると、提供できる価値も広げられると思います。それが、私たちが目指す姿だとも思いますね。

― これからマクロミルはこのデータ利活用支援をどのように加速させていくのでしょうか。

瀬川:
2022年5月に、会社分割(簡易吸収分割)及び承継会社の子会社化に関するリリースを発表しました。マーケティングのコンサルティングに強みをもつSOUTH社と一緒になりマクロミルの子会社として新たなスタートを切ることになります。ありがたいことに、マクロミルでデータコンサルティング事業を立ち上げ後、課題をお持ちの多くの企業様からご相談をいただいてきましたが、お応えできていない企業様もまだ多くいらっしゃいます。今回の子会社化によって更に強い組織となり、今まで以上に高い質のサービスを提供できるようになると考えています。データ活用やデータビジネスでお悩みを抱えている企業様にはぜひご相談いただきたく思います。

― ありがとうございました。


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