PRICE2(Price Reasonability by Consumer's Evaluation 2)

トータルマーケティング戦略に則った最適な価格設定を支援する

消費者が持つ価格イメージから、「購買可能曲線」「最低価格曲線」「妥当価格曲線」「最高価格曲線」の4つの曲線を求め、商品が市場で許容される最適な価格を抽出します。売上額や利益額の最大化、ブランドポジショニングの構築など、マーケティング戦略に則った最適な価格決定の支援をします。

このようなときに・・・
  • 市場に類似品がない新たな商品に対する消費者の価格観を知りたいとき
  • 現行商品に対する消費者の価格評価を知りたいとき
  • 現行商品の価格や価格表示を改定したいとき
こんなことができます
  • 市場で受容される最適価格や高グレード商品の最高価格、バーゲン販売する際の最低価格などを消費者の価格観から算出できます

1.価格戦略に必要とされること

ここでは、価格戦略の策定に有用な調査法を紹介します。

価格は、単に商品の価値はどのくらいか、どのくらいの売上をもたらすか、利益はどのくらいかというものを表す数字ではなく、広告や、店舗の雰囲気等と同様にそれ自身が生活者の間に商品のイメージを創出し、生活者に満足を与えるという役割を持っています。

例えば、ルイ・ヴィトンのバッグが3,000円で売られていたとしましょう。恐らくそのバッグは、ニセモノではないかと疑われ、「買いたい」と思う人は非常に少ないと思われます。これは価格が商品の品質を表すと生活者にとらえられるという側面を持っているからです。(価格の品質バロメータ仮説[Levitt,1954他]による)

価格設定の問題では、価格を下げれば販売量が増えるという単調な関係を想定するのではなく、商品のイメージやコンセプトとのコンテクストでも考えていくということが要求されるのです。このような視点から最適な価格を求めていくために従来使われていたのはPSM(Price Sensitivity Measurement)という手法でした。

2.PSMの調査方法

2-1.一般的な価格調査法の問題点

一般的な価格調査は下記のように行われています。


Q1.商品A、商品Bをもし購入するとすれば、いくらならばよいと思いますか。
商品A
商品B
Q2.この商品を1,000円で買いたいと思いますか。
非常に買いたい 買いたい やや買いたい あまり買いたくない 買いたくない 全く買いたくない

しかしながらこのような調査方法には下記の問題点があります。

通常生活者が物を買う場合には、ある程度柔軟な予算の幅があると考えられていますが、この調査ではそれが考慮されていません。(グーテンベルグの仮説
このように直接的な調査を行うと、調査結果が低めに出る傾向があります。「この商品はいくらで買いますか」という質問をされれば、取引の関係を想定して、本当はもう少し高くても買うにもかかわらず、安い価格を回答することが想像できます。逆に、実際の取引ではないので、高い価格を回答することも考えられます。
この調査法では、予想外の結果が出たときに、戦略の修正に必要な情報が乏しいといえます。

2-2.PSMによる価格調査方法

  1. Q1.その商品「P」は、いくらぐらいから「高い」と思いますか。
  2. Q2.その商品「P」は、いくらぐらいから「安い」と思いますか。
  3. Q3.その商品「P」は、いくらぐらいから「高すぎて買えない」と思いますか。
  4. Q4.その商品「P」は、いくらぐらいから「安すぎて品質が疑わしい」と思いますか。

このように質問し、ここから累積分布をとって図1のような4本の曲線の交点を求め、これらを基準の価格とすることがPSMの手法でした。

生活者の心の中に形成される対象商品にふさわしい価格イメージを参照価格と呼びますが、PSMでは、直接的に購入価格を聞くのではなく、価格イメージ、価格観を質問することが大きな特徴になっています。

図1. PSM分析のイメージ

図1.PSM分析のイメージ

2-3. PSMの問題点

しかし、当社でPSMによる調査を重ねてきた結果、いくつかの疑問点が出てきました。理想価格は、「安すぎる曲線」と「高すぎる曲線」の交点で求められるといわれていますが、なぜこの交点が「理想価格」なのでしょうか。恐らく購買の可能性のある人の数が最も多い価格が、理想価格であると考えているからだと思います。

すなわち、高すぎて買えないと感じる人の数と、安すぎてあやしいと感じる人の数の合計が最も少ない価格が、理想価格になると考えられます。これをグラフにするには、「安すぎる曲線」と「高すぎる曲線」を加えた曲線を描き、そのピークを求めれば、理想価格が求まることになります。図2にそのグラフを示しました。

図2. PSMの問題点

図2.PSMの問題点

PSMでいうところの「安すぎる曲線」と「高すぎる曲線」の交点(=理想価格)と、「安すぎる曲線」と「高すぎる曲線」を加えた曲線のピークが、明らかにずれていることが、おわかりいただけると思います。

PSMには他にも問題点があります。PSMのアウトプットからは4つの価格が一意的に求まってしまいますが、その価格が実現不可能の場合はどういうアクションを打てばよいのでしょうか。またその価格から離れた価格設定をした時におこる市場のインパクトはどうでしょうか。価格感度の累積分布は通常は階段状になり、交点の位置は非常に不安定になりがちです。

当社でこのようにPSMの研究を重ねてきた結果、交点を求めるのではなく、4本の新たな曲線へと変形させることで、さらに調査の精度を向上させ、より使いやすい結果が得られることを発見したのです。具体的には下記のような点が改良されました。

  • 最適な価格を幅を持ったものとしても算出でき、より現実の戦略に応用しやすい
  • PSMでは解釈が不安定であった階段状曲線の場合にも対応できる
  • 基準となる4つの価格の外側や内側が、生活者にとってどのように写るのか解釈しやすい

では、このように改良された当社による新しい調査・分析手法『PRICE2』を見ていきましょう。

3.PRICE2の分析手法

『PRICE2』では、PSMと全く同じ4つの設問による調査を行います。この設問が生活者の価格に対するイメージを求めるのに最適であると考えられるからです。しかし分析の段階では、それぞれの生活者が下のような価格受容性の5つの帯を持つというモデルを仮定します。

「安い」という認知や「高い」という認知はある程度の幅を持っていると考えることができるため、このような仮定をしますが、こうして考えるとPSMの4つの設問はこの個人が持つ5つの価格帯の境界線となる価格を聞いているということになります。つまり、調査のデータからそれぞれの個人についてどの価格にこのような境界線があるのかを知ることが可能となるのです。

PSMの説明のところで、購買可能な価格帯の議論をしましたが、一般に生活者は予期された購入に関し、ある一定の受容可能な価格幅を持つといわれ、これを留保価格といいます。一方グーテンベルグの仮説によれば、生活者はある一定の範囲で価格が変化しても、需要はあまり変化しないといわれています。しかしこのグーテンベルグの仮説は低い価格ゾーンでは留保価格と対立概念となり、また冒頭で述べた価格の品質バロメータ仮説は高い価格ゾーンでは留保価格と対立概念になり、価格の概念整理において理解を阻む考え方だといえます。価格の概念整理については、こちらをご覧ください。

図3.価格感度の帯

図3.価格感度の帯

例えば100円という価格を「安い」と思う生活者の割合は、100円という価格が「安い」と思う価格帯に入っている生活者の割合を計算することから求めることができます。これを、1円~10,000円の範囲内ですべての価格に対して計算すれば、それぞれの価格に対する「安い」と思う生活者の割合を示す曲線を描けることになりますが、『PRICE2』の分析においてはこのような計算方法で下記の4つの曲線を求めます。

  • 購買可能曲線(オレンジ色) それぞれの価格において商品を購買することが可能な生活者の割合を示す曲線を求めます。商品を購買可能な価格の範囲とは、図3のオレンジ色で示された部分であり、それぞれの価格が何パーセントの生活者の 購買可能範囲に入っているのかを求めることから計算します。
  • 最低価格曲線(緑色) それぞれの価格において商品を「安くお買い得である」と考える生活者の割合を示す曲線です。これは図3において緑色の帯で示される価格の範囲であり、それぞれの価格が何パーセントの生活者の「最低品質価格帯」に 含まれているかを計算して求めます。
  • 妥当価格曲線(赤色) それぞれの価格において商品を「高くも安くもない」と考える生活者の割合を示す曲線です。これは図3において赤色の帯で示される価格の範囲であり、それぞれの価格が何パーセントの生活者の「無関心価格帯」に 含まれているかを計算して求めます。
  • 最高価格曲線(青色)それぞれの価格において商品を「高い高級な商品だ」と考える生活者の割合を示す曲線です。これは図3において青色の帯で示される価格の範囲であり、それぞれの価格が何パーセントの生活者の「最高品質価格帯」に含まれているかを計算して求めます。

さらに『PRICE2』では下記の計算式が成り立ちます。

(購買可能曲線)=(最低価格曲線)+(妥当価格曲線)+(最高価格曲線)

その価格で購買可能な生活者のうち、「安いと感じている人」と「安くも高くもないと感じている人」と、「高いと感じている人」の割合を示したのが図4の下の帯グラフです。同じ購買可能確率の価格でも、その構成要素が異なる場合があり、この比率や形状を考察することで、さまざまな示唆を与えてくれます。

図4. PRICE2のアウトプット

図4. PRICE2のアウトプット

では、それぞれの曲線が発泡酒の場合、実際にどのような意味を持つのか見ていきましょう。 調査は2002年5月に行ったものです。

  • 購買可能曲線 発泡酒の場合、この曲線は100円から150円前後のあたりでだらだらとしたピーク帯をとっており、90%以上の生活者がこの価格帯で 購買可能であるということを示しています。このピークの形状は生活者がその商品の実売価格について熟知し、かつその価格を受容していればいるほど実売価格の幅において水平に近い形状となり、実売価格に幅がない場合は鋭いピークになります。
    発泡酒の場合の最適価格は136円前後になっており、調査時のスーパーでの店頭価格と一致しています。
    新しい商品など、生活者が価格についてはっきりとしたイメージを持っていない場合にはこのピークは裾の広い山型になっていきます。
    このように購買可能性曲線を追跡していくことで、その価格においてどれだけの潜在的な顧客が見込めるか、また、その価格が生活者の間で どれくらい浸透しているかを知ることができるのです。
  • 最低価格曲線(緑色) 「安い商品だ」と認知される割合が最も高くなる価格がこの最低価格曲線のピークです。この例では、100円弱のところで50%強の生活者が「安い」と感じているということがわかります。しかし、価格が100円よりも下がると購買可能曲線が急激に下降し、購買可能性のある生活者が大きく減少します。スーパーのPBがちょうどこの価格に該当しますが、安さの限界といえるでしょう。
  • 妥当価格曲線(赤色) 高くも安くもない、価格無関心ゾーンです。逆に言えばこの価格帯の中で売価を変動させた場合は、大きな需要の変化がないともいえます。発泡酒の場合、最適価格に近い133円程度に1つのピークがあり、さらに120円から150円に妥当価格帯が見られます。この価格帯を超えると価格無関心層が急激に減少するので、需要が変化する可能性があります。
  • 最高価格曲線(青色) 購買可能ではあるが、「高い商品だ」と認知される生活者の割合を表すのがこの最高価格曲線です。何かしら高い価格を設定できるようなプレミアムを持った商品や、高級イメージを与えたい商品などに最適な価格をこの曲線から求められます。発泡酒の例ではこの最高価格曲線のピークは190円くらいであり、これより価格が上がると購買可能曲線が急激に下降し、購買可能性のある生活者が大きく減少します。200円が価格閾値となるので、最高級発泡酒を発売するとしても、190円台の端数価格に設定するのが、最高限度価格としてふさわしいことが示唆されています。

4.PRICE2事例紹介

図5. トイレットペーパー(12ロール)

図5. トイレットペーパー(12ロール)

図6.タバコ

図6.タバコ

図7.消費税

図7.消費税

次に、当社が、下記の架空の新商品、エアスクーター「scope α」について調査を行った結果分析を紹介します。

図8.エア・スクーター ついに映画の世界が現実となりました。場所をとらないコンパクトな形状で、音も静かです。安定した走行を実現し、当社の自主安全基準を通過、スポーツとしての楽しみだけでなく街乗りにも使用できます(要原付免許+当社主催の無料講習会)。あなたもこのscope α と一緒に風になりませんか?

図8.エア・スクーター

上記の商品の価格に関して調査した結果、下記のような4本の曲線が求められました。なだらかな山形の曲線が算出されました。これは極端な例ですが、価格がある程度固定的で生活者もその価格をよく知っている場合にはとがった山形に、価格に幅があるが生活者もその価格の変動の幅をよく知ってい場合には低くとがった山形に、生活者が価格に対して見当がつかない場合には広がりのある山形にと、4つの曲線の形状は変化します。

図9.エア・スクーターのアウトプット

図9.エア・スクーターのアウトプット

購買可能曲線について見ていくと、購買可能曲線はおよそ100万円のところでピークをとりますが、50万円から200万円の幅においては比較的緩やかで60%以上の購買可能性を持っています。最低価格曲線については、約50万円のところにピークを持ちます。

最高価格曲線を見てみると、こちらは150~300万円の間で幅を持ったピーク帯を持ち、以後100万円周期で階段状に下降していきます。

以上から、例えば戦略目標をイノベータ層への普及とするならば、この商品の価格は300万円弱とするのが理想的であると思われます。

また、アーリーアダプターへ浸透させることを考えれば200万円弱とし、さらにフォロワーまで拡販する場合は100万円前後、ライフサイクルが成熟期に入れば50万円程度の戦略価格商材にもなりえます。

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