【最新調査】生成AIビジネス活用の現在地と次なる課題を解説

公開日:2026/6/12(金)

企業における生成AIの活用は、実験フェーズから、実際の業務に組み込まれる「本格的な実装・ビジネス変革」のフェーズへと進み始めています。

本調査レポートでは、2026年現在、ビジネスの現場で生成AIがどのように浸透し、組織や個人の意識にどのような変化をもたらしているのか、具体的なデータによって明らかにします。

1. 全業種で最大の躍進を見せる「官公庁・自治体」の導入

【図表1】業種別でみた生成AI導入・活用状況

今回の調査で最も顕著な動きを見せたのが、官公庁や自治体における生成AIの活用です。 官庁・自治体の導入・活用率(導入検討中も含む)は44%に達し、前年比でプラス14ポイントという、全業種中で最大の躍進を記録しました。

公的機関において活用が進んでいる背景には、文書作成や要約といった定型業務において、生成AIによる効率化の効果が見えやすいことがあると考えられます。

2. 生成AIによる「1日平均75分」の業務削減効果とその使われ方

【図表2】 生成AI活用による業務作業時間の変化/職種別で見た削減できた業務時間

実際に生成AIを導入している現場では、1日平均75分の業務時間削減効果が出ていることが分かりました。 しかし、その削減された時間の使い道には、職種によって差が見られます。

【図表3】 削減時間の再投資先(職種別)
  • バックオフィス系(人事・総務・経理など):「以前は手が回っていなかった別の業務や雑務」の消化が最も多く、削減時間は滞留していた周辺業務の処理に向かう傾向が見られます。
  • フロント・企画系(営業・マーケティングなど):削減された時間を「創造的な業務」や「意思決定」に投資できており、高付加価値な活動への分散投資が相対的に進んでいる傾向が見られます。

AIによって生まれた時間を、単なる「次の雑務の処理」で終わらせるか、それとも「付加価値の高い業務」へ投資できるかという点が、今後の組織の生産性を分ける鍵になりそうです。

3. マルチツール化の進展と「自社専用AI」が抱える不満

利用されるAIツールの側面に目を向けると、ビジネスパーソンは現在、平均2.3個のツールを併用して業務を行っていることが明らかになりました。

【図表4】主要4サービスの導入状況変化

「Microsoft 365 Copilot」や「ChatGPT」が業務インフラの中心として定着し、さらに「Gemini」などの利用率も急増しています。

複数のサービスを目的によって使い分ける「マルチツール化」が鮮明になる一方で、企業がセキュリティや統制を目的に開発した「自社専用の独自AI」の満足度は最下位という結果になりました。

利便性を求める現場のニーズと、統制を重視する企業側のガバナンスとの間に、大きな乖離が生じている現状が伺えます。

4. 自律的学習による格差と「キャリアへの自信」の向上

【図表5】生成AIに対する「考え」や「感覚」の意識の違い

生成AIの活用頻度は、個人の市場価値向上実感や仕事への前向きな感覚にも影響を与え始めています。 生成AIを「ほぼ毎日活用している層」は、活用頻度が低い層に比べて、「自分の仕事の市場価値が向上している」という実感が約2倍(62% vs 32%)に開いており、仕事へのワクワク感も70%に達しています。

【図表6】生成AI活用別で見た情報収集・学習している割合と自己投資額の平均

この「毎日活用層」の自己投資額は平均月10,372円に達しており、企業支給の環境に留まらず、自律的に学び続ける姿勢がうかがえます。AIを使いこなせるという実感がキャリアへの自信に直結している一方で、個人の熱量に依存した「自律的学習の格差」が社内で拡大しつつある点には注意が必要です。

5. 企業の推進体制がもたらす「ガバナンスとリテラシー」の壁

【図表7】経営層の関与度と組織のAI活用能力

今回の調査では、社内ルールやガイドラインの整備率が前回調査からプラス22ポイントと急伸している一方で、「リテラシーが高い社員が多い」と答えた企業は同マイナス2ポイントと足踏み状態にあります。

しかし、経営層が深くコミットしている企業においては、社員のリテラシーの高さが79%と圧倒的な水準に達しており、単にルールを配布するだけでなく、経営主導で組織の仕組みへ落とし込むことが現場の活用力を底上げする境界線となっているようです。

6. 顧客のAI利用を想定した「外向きの対策」の始動とニーズの高度化

生成AIの活用は、社内の業務効率化(内向き)に留まらず、顧客の行動変化に対応するための「外向きの変革(攻め)」へと広がり始めています。

【図表8】顧客AI利用への「外向き対応」

生成AIを導入している部署の44%が、すでに「顧客が生成AIを活用すること」を想定した具体的な取り組みや対策を講じていることが分かりました。

また、攻めの活用を進める企業ほど守りの基盤強化も同時に求めており、企業には、攻めの活用と守りの基盤強化を並行して進めることが求められています。

レポート本編ダウンロード

本ページで公開した内容に加え、様々な詳細データを閲覧いただけます。ぜひダウンロードして詳しくご覧ください。(全69ページ)

  • 業務効率化・コスト削減にとどまらない、価値創出・顧客対応に向けた生成AI活用の広がり
  • AI利用ルールの整備状況と、セキュリティ・リスク対策の実践度
  • 経営層の関与度や推進体制の違いによる、削減時間・期待達成度・活用拡大意向の差
  • AI活用に関わる現場の懸念事項、リテラシー格差、運用上の課題
  • 企業に求められる生成AI活用支援ニーズの変化

調査概要

調査手法
マクロミルが保有するビジネスパネルに対するインターネット調査
調査エリア
全国
調査対象者
【スクリーニング調査】20歳~59歳の男女
【本調査】生成AIを導入・活用している(試験導入を含む)企業に勤務している20歳~59歳の男女
回答者数
【スクリーニング調査】11,009 人
【本調査】3,090 人
調査期間
2026年4月16日~2026年4月18日
調査実施機関
株式会社マクロミル

※冒頭の画像作成は生成AIを使用

著者の紹介

中嶋 正純

中嶋 正純

株式会社マクロミル 事業統括本部
イノベーション推進部 生成AI活用推進ユニット
生成AI活用スペシャリスト

リサーチプランナーとして顧客のマーケティング課題解決を支援。現在は生成AI導入・活用推進PJも担い、生成AIの実用化・社内普及を推進。また、社外での講演や寄稿活動を通じて、生成AI活用の知見を広く共有。

【登壇、記事寄稿】
・MarkeZine、インプレス「ThinkIT」、NewsPicks、宣伝会議等で記事寄稿
・「マーケティングリサーチ×生成AI」をテーマにした講義・セミナーを多数実施
・海外プロンプトハッカソン、国内生成AIハッカソンで入賞実績あり

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