「情報の信頼性」の不安は石川県で最多。南海トラフ臨時情報対象地域を中心にコミュニケーション不安が課題に

~マクロミル、第2回全国20万人「都道府県別」防災調査ランキング~
株式会社マクロミル
(コード番号:3978 東証プライム)

株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:佐々木徹 以下、当社)は、全国20万人を対象とした「災害や防災に関する調査」を実施しました。本調査は2024年※1に続き2回目となり、本年2月の調査結果から、各都道府県の“現在地”を分析し発表します。

内閣府が毎年公表する「防災白書」では、国民の災害対策における「自助・共助の推進」※2を重点項目の一つとしています。本調査では、自助意識は高まる一方で共助意識への課題と、情報の信頼性に対する不安が明らかになりました。

なお、本調査の都道府県別データは、以下のボタンよりどなたでもダウンロードをしていただけます。南海トラフ地震※3をはじめとした大災害への備えが求められる中、自治体の危機管理・防災担当部門など、広くご活用いただける調査結果を公開しています。

■ 調査結果 トピックス

  1. 南海トラフ臨時情報の発表により、対象県における災害対策への“自助意識”が向上
    常用持ち出し袋の準備」の伸長ランキング第1位は宮崎県(10.4ポイント増)、
    「避難場所/避難経路の確認」の第1位は宮崎県(12.2ポイント増)
  2. 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」は全体の24.4%、
    第1位の宮城県でも31.5%に留まり、“共助意識”には課題が残る
  3. 大災害発生時の「情報の信頼性」、能登半島地震で被災した石川県(65.7%)、南海トラフ臨時情報
    対象地域の徳島県(65.5%)、愛媛県(65.1%)を中心にコミュニケーション不安が広がる

■ 調査結果

1. 南海トラフ臨時情報の発表により、対象県における災害対策への“自助意識”が向上 「非常用持ち出し袋の準備」の伸長ランキング第1位は宮崎県(10.4ポイント増)、「避難場所/避難経路の確認」の第1位は宮崎県(12.2ポイント増)

災害対策について、「家具の置き方の工夫」「非常用持ち出し袋の準備」「家族どうしの安否確認方法」「災害時に頼ることができるご近所づきあい」「避難場所/避難経路の確認」の5項目で準備状況を尋ねました。さらに、前年から1年間でどのくらい準備が進んだのかを都道府県別に比較した、伸長ランキングを作成しました。

5項目とも共通した特徴として、2024年8月に発表された南海トラフ臨時情報の主要対象県(静岡県から宮崎県にかけての太平洋沿岸が中心)では前年よりも伸長が見られました。中でも、ポイント増加が顕著だったのは「非常用持ち出し袋の準備」と「避難場所/避難経路の確認」です。

「非常用持ち出し袋の準備」の前年差で伸長した第1位が宮崎県(10.4ポイント増)、第2位が三重県(10.0ポイント増)、3位が和歌山県(8.6ポイント増)、また、「避難場所/避難経路の確認」の第1位は宮崎県(12.2ポイント増)、第2位は鹿児島県(9.7ポイント増)、第3位は奈良県(9.3ポイント増)でした。このように、南海トラフ臨時情報対象地域では、防災に対する自助意識の向上がうかがえる結果となりました。【図表1】

【図表1】「非常用持ち出し袋」と「避難場所/避難経路の確認」における2024年~2025年都道府県別伸長ランキング(トップ10)

※スコアは「十分な準備ができている」「一定の準備はできている」の合計

【図表1】「非常用持ち出し袋」と「避難場所/避難経路の確認」における2024年~2025年都道府県別伸長ランキング(トップ10)

2. 災害時に頼ることができるご近所づきあい」は全体の24.4%、第1位の宮城県でも31.5%に留まり、“共助意識”には課題が残る

先ほどの5項目のうち、“共助”に該当する「災害時に頼ることができるご近所づきあいの準備」を見ていきます。
「災害時に頼ることができるご近所づきあいの準備」ができている(十分な準備ができている、一定の準備はできているの合計)のは、回答者20万人全体のおよそ4分の1に当たる24.4%に留まりました。【図表2】

【図表2】 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」の準備状況

【図表2】 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」の準備状況

また、2025年都道府県別ランキングで見ても、第1位の宮城県であっても31.5%に留まりました。【図表3(左)】
2024年→2025年伸長ランキングを見ると、高知県、宮崎県、大分県といった南海トラフ臨時情報対象地域がトップ3を占めるも、共助への意識は自助に比べて低い傾向です。【図表3(右)】

【図表3】 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」都道府県別ランキング トップ10(左)、2024年→2025年伸長ランキング都道府県別トップ10(右)

※スコアは「十分な準備ができている」「一定の準備はできている」の合計

【図表3】 「災害時に頼ることができるご近所づきあい」都道府県別ランキング トップ10(左)、2024年→2025年伸長ランキング都道府県別トップ10(右)

3. 大災害発生時の「情報の信頼性」、能登半島地震で被災した石川県(65.7%)、南海トラフ臨時情報対象地域の徳島県(65.5%)、愛媛県(65.1%)を中心にコミュニケーション不安が広がる

大規模災害時におけるフェイクニュースやSNSでの真偽不明な投稿といった、いわゆる“デマ情報”の拡散が社会課題となっています。そこで、もし現在住んでいる地域で大規模災害が発生した場合の「情報の信頼性(偽情報/デマの増加)」といったコミュニケーション上の不安があるか尋ね、都道府県別に比較しました。

その結果、2024年能登半島地震で被災した石川県(65.7%)を筆頭に、徳島県(65.5%)、愛媛県(65.1%)といった南海トラフ臨時情報対象地域を中心に不安が広がっていることが分かりました。【図表4】

【図表4】 大規模災害発生時の「情報の信頼性」への不安都道府県別比較

※スコアは「とても不安」「やや不安」の合計

【図表4】 大規模災害発生時の「情報の信頼性」への不安都道府県別比較

■ 本調査結果を踏まえたリサーチャー見解

萩原雅之(マーケティングリサーチャー/マクロミルシニアフェロー)

今回の調査では、自助と共助のあいだに明確な非対称性が見られました。とりわけ南海トラフ臨時情報の発令地域においては、防災意識の高まりが「非常用持ち出し袋の準備」や「避難経路の確認」といった自助行動を強く後押ししており、具体的なリスクが可視化されたときに、人々が素早く自己防衛に動く傾向を裏付けています。

一方で、「災害時に頼れるご近所づきあい」ができていると答えた人は相対的に伸び悩んでおり、地域の共助体制には依然として課題が残ります。共助は効果が見えにくく、日常生活では優先順位が下がりがちです。時間的・心理的な負担が大きく、人間関係への気遣いも伴うため、忙しい都市生活のなかでは後回しにされやすい構造があると考えられます。

また、「情報の信頼性」に対する不安が高かったのは、過去に災害を経験した地域や災害リスクが高い地域でした。正確な情報にたどりつけるかどうかという懸念は、災害時における大きなストレス要因です。こうした不安の解消には、平時からの信頼関係の構築と情報発信の体制整備が不可欠です。

以 上

※1https://www.macromill.com/press/release/20240828.html

※2https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r06/honbun/1b_1s_01_01.html

※3https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/nteq/index.html

■ 関連リンク

プレスリリース(2025年3月11日付)

全国20万人に聴く防災意識調査(マクロミル調べ)~災害時に頼れるご近所づきあい、大都市に住む35%が「全くできていない」。デマなどの情報の信頼性に「不安あり」が63%にのぼり、若年層ほど高い~

■ 調査概要

調査方法   
:インターネットリサーチ
調査地域   
:全国
調査対象   
:全マクロミルモニタ会員
有効回答数   
:200,000人
割付方法   
:割付なし(全数回答)
調査期間   
:2025年2月6日(木)~2025年2月8日(土)

* 本文の数値は小数点第2位で四捨五入し、表記しています。百分率表示は四捨五入の丸め計算をおこなっており、合計が100%とならない場合があります。

データのご利用に関して

注意事項

当記事の著作権は、株式会社マクロミルが保有します。当記事に掲載のデータを引用・転載される際は、必ず「マクロミル調べ」と出典を明記ください。また、引用・転載される際は、掲載先・掲載内容について以下問合せ先までご一報ください。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社マクロミル 広報
TEL:03-6716-0707 お問い合わせ