市場拡大1位は「米」で前年比75.2%増、平均単価79.4%増で高騰が要因。
冷凍ブロッコリーがけん引する「冷凍農産素材」市場、20代男性で38.1%増。
株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:佐々木徹 以下、当社)は、当社の消費者購買履歴データ「QPR™」をもとに、2025年上半期の「食品」と「日用品」のカテゴリ別購入金額の伸びから振り返る「2025年上半期市場規模拡大・縮小ランキング」を発表します。
「QPR™」は、全国3.5万人の消費者パネルから毎日の買い物履歴を収集し、POS(販売時点情報管理)データでは分からない購入者属性や、アンケートによる購入シーン・理由などを追跡できる消費者パネルデータです。使用データの集計期間は2025年1月1日(水)から5月15日(木)まで、ランキング中のカテゴリ名称はJICFS(JANコード商品情報データベース)の表現(文言)を採用しています。
■ 2025年上半期のトピックス
- 食品部門の第1位は「米」、前年比75.2%の大幅増。平均単価は79.4%増で価格高騰が要因
- 健康・美容志向の食品カテゴリが好調。グルテンフリー需要の高まりで「米粉」が前年比28.9%増
- 冷凍ブロッコリーがけん引する「冷凍農産素材」市場、20代男性が前年比38.1%増で性年代別トップ。筋トレ・ダイエット需要が後押しか
- 日用品部門第1位は「かいろ・湯たんぽ」で前年比38.3%増、寒波と電気代高騰から防寒グッズの市場が拡大
- 「発毛・養毛薬」が前年比21.7%増、女性70歳以上の購入率が前年比79.8%増と急拡大
1. 食品部門の第1位は「米」、前年比75.2%の大幅増。平均単価は79.4%増で価格高騰が要因
食品部門の市場拡大ランキング第1位は「米」で、前年比75.2%の大幅増となりました。1人あたりの平均購入単価(以下、平均単価)も前年比79.4%増と、価格高騰によって市場規模が膨張したことが分かります。【図表1】
また、もち麦や雑穀などの「その他穀物」も19.7%増で第3位にランクインし、高騰する米対策として、白米のかさ増し目的での需要が高まったと考えられます。なお、「その他穀物」の平均単価は0.8%増にとどまり、価格上昇に加えて、購入者数の増加が市場拡大の要因となっています。【図表1】
【図表1】2025年上半期 市場規模拡大・縮小ランキング 【食品部門】
2. 健康・美容志向の食品カテゴリが好調。グルテンフリー需要の高まりで「米粉」が前年比28.9%増
食品の上位には、健康・美容志向の商品が複数ランクインしました。
第2位の「米粉」は前年比28.9%増で、グルテンフリーを訴求する波里「お米の粉 お料理自慢の薄力粉」、ニップン「米粉」などがカテゴリをけん引しました。グルテンフリー食品は、日本だけでなく、アメリカや欧州を中心に世界的に需要が増大しています※1。
また、カカオポリフェノールや食物繊維が注目される「ココア」が18.4%増で第4位、アンチエイジング・美肌効果や生活習慣病予防・改善に効果があるとされる「黒ごまアーモンドきなこ」の伸長によって「その他粉類」が17.4%増で第5位、機能性表示食品「カゴメトマトジュース」などの「トマトジュース」が16.0%増で第6位でした。【図表1】
※1)農林水産省 ホームページ資料「世界のグルテンフリー市場規模」より
3. 冷凍ブロッコリーがけん引する「冷凍農産素材」市場、20代男性が前年比38.1%増で性年代別トップ。筋トレ・ダイエット需要が後押しか
食品の第7位は「冷凍農産素材」で前年比15.9%増でした。【図表1】
「冷凍農産素材」カテゴリ内における商品別ランキング※2を見ると、上位に「冷凍ブロッコリー」が複数ランクインしており、同カテゴリの拡大をけん引していることが分かります。なお、2015年と2025年のデータを比較し過去10年間の変化も確認したところ、「冷凍ブロッコリー」がランキング上位を占める割合が上昇していました。農林水産省は、2026年度からブロッコリーを、消費量が多く国民生活に重要な野菜として「指定野菜」に加えることを発表しています。このことからも、ブロッコリーが日本の食卓に欠かせない食材となっていることが分かります。
また、「冷凍農産素材」市場の伸長率を性年代別で比較すると、男性20代は前年比38.1%増と最も増加していました。低カロリー・低糖質でタンパク質を多く含む野菜として、筋トレやダイエットを目的に自ら購入している様子がうかがえます。【図表2】
※2)商品別ランキングは一般非公開
【図表2】「冷凍農産素材」の性年代別の市場規模伸長率(2024年上半期と2025年上半期の比較)
4. 日用品部門第1位は「かいろ・湯たんぽ」で前年比38.3%増、寒波と電気代高騰から防寒グッズの市場が拡大
日用品部門の拡大ランキングの第1位は「かいろ・湯たんぽ」で前年比38.3%増、第3位は「しもやけ・あかぎれ用薬」で31.3%増、第9位は「使い捨てカイロ」で17.0%増でした。これらカテゴリの市場拡大の背景として、今冬の寒波と電気代高騰、太平洋側を中心とした少雨による乾燥※3などが考えられます。
ここで、第3位の「しもやけ・あかぎれ用薬」に注目してみます。このカテゴリは医薬品に該当しますが、縮小ランキングの第1位にランクインした「ひび・しもやけ・あかぎれ」は指定医薬部外品です。この結果から、今冬の寒さや乾燥による影響で、指定医薬部外品よりも、より高い効果を期待される医薬品が求められたことが考えられます。【図表3】
※3)日本気象協会「Weather X」 「2024年~2025年冬の振り返りと商品売上、物流への影響」より
【図表3】2025年上半期 市場規模拡大・縮小ランキング 【日用品部門】
5. 「発毛・養毛薬」が前年比21.7%増、女性70歳以上の購入率が前年比79.8%増と急拡大
日用品部門の第7位である「発毛・養毛薬」は前年比21.7%増でした。【図表3】
「発毛・養毛薬」の購入率の伸長を性年代別に見ると、男性60代が前年比78.7%増、女性70歳以上が79.8%増と、顕著でした。【図表4】
なお、第7位の「発毛・養毛薬」は医薬品に該当します。医薬部外品である「男性用育毛・養毛剤」の市場規模は前年比16.7%減、「女性用育毛・養毛剤」は3.6%増にとどまり、これらの結果から、より高い効果を期待される医薬品の人気が高まっていることがうかがえます。
【図表4】「発毛・養毛薬」カテゴリの購入伸長率(40代以上の性年代別)
(2024年上半期と2025年上半期の比較)
以 上
■ 分析の仕様と、ランキングの作成方法
- データソース
- :QPR™(消費者購買履歴データ)
- 分析対象者
- :全国(沖縄県を除く)15~79歳の男女
- 対象カテゴリ
- :JICFS食品・日用品
- 集計期間
- :2025年1月1日(水)~5月15日(木)(前年比:2024年1月1日(月)~5月15日(水))
- ランキング作成方法
- :市場規模を表す当社の独自指標「100人あたり購入金額」において、集計期間内におけるカテゴリ全体の購入者数が、食品は200人以上、日用品は100人以上の項目に絞り込み、その他を含むカテゴリを除外したランキングを作成。また、前年伸長率を正しく判定できるよう一部データ誤差削除。
■ QPR™(消費者購買履歴データ)とは
全国3.5万人のQPR™モニタにバーコードリーダーを貸与して日々の購買データを収集し、アンケートの実施によりなぜ購入したのかという商品購入意識も掛け合わせて分析できるシングルソースデータです。食品、飲料、化粧品、生活用品など、実際の購買データに基づく購入者像の把握、購買トレンドの分析が可能です。 https://www.macromill.com/service/digital-data/consumer-purchase-history-data/
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