2度目の緊急事態宣言による生活者心理、前回との違いを定点観測データから分析

~「不安感」は減少。「テレワーク実施率」は発令3週目に急上昇、1都3県で38.7%~
株式会社マクロミル
(コード番号:3978 東証一部)

株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役社長 グローバルCEO:佐々木徹 以下、当社)は、新型コロナウイルスの感染拡大によって発令された11都府県(現在は10都府県)対象の緊急事態宣言が、生活者心理にどのような影響を与えているのか、定点観測データ「Macromill Weekly Index」で分析しました。当調査は、当社が2011年から毎週継続して調査しているもので、調査対象は全国20~60代の男女1,000名、国勢調査の人口動態の比率(エリア、性別、年代)に基づき割付を行っています。また、内閣府の「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」や「経済財政諮問会議資料」でも採用されています。

本取り組みは、マーケティングリサーチ会社である当社が果たすべき社会的な使命として実施しており、社会変化による生活者への影響をタイムリーに把握して分析し、公開しています。

トピックス

  1. 気になるニュース、「新型コロナ」が前回の緊急事態宣言時に比べてスコア低下。今回はコロナ関連以外にも、「バイデン新大統領」「ミャンマークーデター」等、海外ニュースが上位にランクイン
  2. 「不安感」を抱く人の割合は前回よりも少なく推移。2月3日時点では22.4%で、前回の約半数
  3. 消費意欲は前回よりも高いが、実際の消費行動にはつながらず。緊急事態宣言発令後の個人消費金額は平均13,708円/週
  4. テレワーク実施率、1都3県で発令3週目に急上昇。3週目・4週目は38%台に

調査結果

前回の緊急事態宣言(2020年4~5月)では多くの人が外出を自粛し、消費意欲や実際の消費金額も大きく落ち込みました。今回の緊急事態宣言(2021年1月~)が発令されてから約1カ月が経過した今、前回と比較して生活者の受け止め方や消費の状況にどのような違いがあるのでしょうか。

  1. 気になるニュース、「新型コロナ」が前回の緊急事態宣言時に比べてスコア低下。
    今回はコロナ関連以外にも、「バイデン新大統領」「ミャンマークーデター」等、海外ニュースが上位にランクイン

    生活者の「過去1週間に気になった話題やニュース」について時系列に見ていきます(図1)。緊急事態宣言の発令中、前回も今回もすべての週の1位が「新型コロナ」でした。しかし「新型コロナ」の想起率に注目すると、今回の方が約30ポイントも低下し、「新型コロナ」だけではなく「ワクチン」への注目も高まり始めました。また、新型コロナに直接は関係しない「バイデン新大統領」「ミャンマークーデター」といった海外のニュースも注目されるようになり、「新型コロナ」一点に集中という状況では無くなっています。

    また、「緊急事態宣言」というキーワードに注目すると、前回の緊急事態宣言では週を追うごとに想起率が減少し、緊急事態宣言が延長されようとしたゴールデンウィーク明けに再び上昇しました。今回の緊急事態宣言でも、1月20日以降「緊急事態宣言」の想起率が大きく低下しましたが、前回と同様に今回も、発期期間が延長されるか否かといった報道に合わせて注目度が再び上昇、1月27日時点では3%だったスコアが28%まで急上昇しました。

    図1:過去1週間に気になった話題やニュース(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    図1:過去1週間に気になった話題やニュース(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

  2. 「不安感」を抱く人の割合は前回よりも少なく推移。2月3日時点では22.4%で、前回の約半数

    生活者の「不安感」の推移について見ていきます(図2)。前回の緊急事態宣言時は、発令直後の2020年4月8日に51.4%が不安だと回答し、全体の半数を超えましたが、今回の発令後は30%未満の状況が続いており、2月3日には22.4%まで減少しました。新型コロナの感染者数を前回の緊急事態宣言と今回の緊急事態宣言で比較すると今回の方が大幅に多い状況ですが、「不安感」を抱く人の割合は減少傾向です。

    図2:「不安感」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    図2:「不安感」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

  3. 消費意欲は前回よりも高いが、実際の消費行動にはつながらず。
    緊急事態宣言発令後の個人消費金額は平均13,708円/週

    消費に対する意識について見ていきます。「今後1カ月の購入量」を示す消費マインド※1は、前回の緊急事態宣言時は発令される前から低下、ゴールデンウィークの前週(4月22日)に底を打ち、ゴールデンウィーク期間中から急激に改善、そしてゴールデンウィーク後(5月6日)には、前年よりも高いことを示す1.0を上回りました。今回は前回ほどの低下は見られず、今後の景気回復の兆しが見えます(図3)一方で、「過去1週間に個人が実際に使った金額」を示す消費金額※2は、今回の緊急事態宣言が発令された後から前回と同様に落ち込みを見せています(図4)。また、今回の緊急事態宣言発令後の個人消費金額は平均13,708円/週となっています。

    今回の緊急事態宣言の発令中は、生活者の消費意欲は高いものの、財布の紐は堅く、実際の消費行動にはつながっていないようです。

    図3:「消費マインド」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    図3:「消費マインド」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    図4:「消費金額」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    図4:「消費金額」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    ※図3・図4のグラフの見方
    棒グラフは、各週の「2019年の同週スコアとの比率」。年末年始やゴールデンウィーク等は毎年消費金額が増加するため季節的影響があり、2020年4~5月と2021年1月~の期間を単純比較できないため、それぞれ2019年の同週スコアとの比率で傾向を見る。
  4. テレワーク実施率、1都3県で発令3週目に急上昇。3週目・4週目は38%台に

    今回の緊急事態宣言において、政府は「出勤者数の7割削減」という目標を掲げ、経済3団体にテレワークの推進を要請しました。実際にテレワーク実施率※3はどのように推移しているのでしょうか。緊急事態宣言の期間別にエリアを分けて確認しました。テレワーク実施率は前回も今回も7府県より1都3県の方が高いことが分かります。また、1都3県に注目すると、今回の発令から2週間は30%程度でしたが、、発令から3週目となる1月27日には1都3県で38.7%と急上昇し、翌週もその横ばいとなっています。要請から3週間目、1都3県の企業のさらなるテレワーク実施が推進され始めたようです。

    図5:1都3県、7府県別の、「テレワーク実施率」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

    ※2020年4月8日より設問追加

    図5:1都3県、7府県別の、「テレワーク実施率」の推移(緊急事態宣言、前回と今回の比較)

マクロミルは、今後も革新的なサービスでマーケティングビジネス領域全体にイノベーションを拡げ、顧客企業のマーケティング課題の解決に共に取り組む「パートナー」となることを中期的な目標のひとつに掲げています。その上で、自社で保有する消費者パネルから得られる様々なデータを活用し、顧客企業の保有データの価値を高める「リサーチ」x「DATA」の会社へと進化することを目指しています。

以 上

  • 今後1カ月にモノやサービスを購入する品数や量について「大幅に増える(100)」「やや増える(75)」「変わらない(50)」「やや減る(25)」「大幅に減る(0)」の加重平均の前年同週比として算出

  • 過去1週間に回答者自身がモノやサービスを消費した金額(家賃やローン・公共料金など毎月の支払いを除く)を3週移動平均の前年同週比として算出

  • 有職者のうち、「この1週間にテレワークをした」と回答した人の割合

Macromill Weekly Indexとは

日本における毎週の生活者意識や消費動向を継続的に把握する、マクロミルの定点観測調査データです。1週間の消費金額や、消費カテゴリーのほか、内閣府が実施する消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にした消費マインドや景況感などの指標を幅広く取得しています。また、政府が公表する「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」にも採用されました。調査は毎週水曜に実施、データは同週の金曜に即時性高く公表しており、BIツール「Tableau」との連携によって、性別や年代別、地域ごとなどの動向把握が可能です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社マクロミル コーポレートコミュニケーション・IR本部
TEL:03-6716-0707 お問い合わせ