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生活者の価値観・地域での違い【インドネシア編】

アジアのターゲット市場で消費者調査を行うと、「なぜこういった傾向がみられるのか」と、スコアの解釈への悩みに直面することがあります。その裏には、各国の消費者意識に影響をあたえる「社会背景」「文化背景」等が必ず存在し、海外での調査データの分析で重要なポイントとなります。

そこで当社は、アジアにおけるマーケティング戦略や海外調査をご担当される方が調査企画を策案する際、有用な基礎情報源として活用いただける『アジア4カ国(中国・インドネシア・タイ・ベトナム)の生活者価値観レポート』をまとめました。本連載は、各国の有識者の知見に基づいた仮説と分析を、マクロミルが独自に実施した自主調査で検証するというスタイルでご紹介していきます。

今回は、インドネシアの以下のような世代ごとに「生活者の価値観・地域での違い」について解説します。

  • 第1世代「Gen1」 ムルデカ世代(独立戦争世代)(1945~64年生まれ)
  • 第2世代「Gen2」 オルデバル世代(スハルト体制世代)(1965~74年生まれ)
  • 第3世代「Gen3」 インドネシアのミレニアル(1975~98年生まれ)
  • 第4世代「Gen4」 ジェネレーションZ(1998~2002年生まれ)

歴史的背景

オランダからの独立後、300もの部族を一つにまとめるために、パンチャシラの精神という5つの規律が作られました。政治的な意向でマジョリティであるジャワ人を中心とする国家で、各島へジャワ人を移住させ、主流となり、ジャワ人が政府の中枢を占めるようになりました。部族ごとに慣習の違いはあるものの、アダットという慣習法(インドネシア・マレーシアなどのマレー語圏における伝統的慣習・掟・文化的価値観)が強く残っており、土地の権利、婚姻から地方政治に至るまで、慣習的なものを尊重する文化背景が、人々の生活と価値観に影響を与えています。

地域ごとの特徴や歴史

インドネシアは、大小の島々から成り立つ群島国家であることが、様々な民族のそれぞれ独自の価値観を保持することに一役買っています。しかし、価値観の中核に「家族」があることは、どの民族にも共通しています。

ジャワ人(中央・東ジャワ州)

家族中心の考え方を持ち、結婚後自立して新しく住居を構え、家族と幸せを築き、子どもたちの社会的アイデンティティを確立することを主な目的とし、家族への義務は拡大家族の範囲内までとしています。

自分のことは自分ででき、独立している傾向が強く、個人主義的です。持ち家で、安定した予測可能な環境の中で快適に暮らします。近所と集団で協力しあいながら生活することを好み、条件の良い仕事や未来のために他の場所に引っ越す気はあまりありません。

人との衝突や敵を作ることは避けます。集産主義で、連帯することは非常に重要と考えており、人と健全な関係を保ち、特に年長者には敬意を払います。

隔たりはありませんが、他と比べると最も閉ざされています。居心地が悪い時に見せるジャワ人スマイルには、「私の邪魔はしないで」という意味合いがあります。

職業は、公務員、教育関連、事務職が多いです。

スンダ族

家族を中心とし、年長者を敬い、拡大家族を重んじ、安定した予測可能な環境の便利さを好みます。イスラム教の色合いが明らかに濃いです。

外向的であり、ユーモアに富んだひらめきのある表現力で、自分たちの言いたいことを口にすることに抵抗はありません。ライフスタイルと消費スタイルは快楽主義的な傾向があります。民族衣装の「バティック(ろうけつ染め布地の特産品)」や、色彩感あふれる工芸品で有名です。

職業は、中小企業、飲食・エンターテインメントで、大規模な郊外地区またはジャカルタやバンドンのような大都市に住んでいます。

ミナンカバウ(スマトラ島西部の高地)

家族中心的(大家族や部族までを含む)であり、強い集団的な結束力があります。Mamakと呼ばれる年長者は重要な役割を担う大切な存在です。年長者や自分より年上の人に対して大きな敬意を払います。また、「家母長制家族」であり、男性は高校・大学を卒業した後には、よりよい生活を求めて育った地域を離れます。

自立しており、起業家的な気質を持っています。政治的、経済的な意識が高く、自然環境に関しては敏感であり、現在不安定であると認識しています。

バタック人(スマトラ島北部)

家族構成は拡大家族であり、大家族と、社会の主要人物はこの民族の重要な役割を担います。「家父長制家族」であり、家族には家族の名前を継ぐ男の子が少なくとも一人はいるべきだという考えを持っています。男性は通常、よりよい生活を都市に求めて故郷を離れますが、大家族との繋がりは常に強いです。

元々キリスト教徒でしたが、イスラム教に改宗しました。

家族の中心は?

定量調査で「家族の中心は誰か?」と尋ねたところ、民族ごとの極端な偏りは見られませんでした。また、地域によるばらつきも少ないようです。

中国、タイ、ベトナムでも同様の質問をしていますが、他の国はすべて「自分」か「子供(特に中国)」が高い傾向でした。

インドネシアには家父長制や家母長の民族があるにもかかわらず、他国と比較すると、家族の中での権威構造が均質的なことが、家族意識としての特徴だと言えそうです。

家族の中心は誰か?

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家族の中心は誰か?

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都市部で芽生える集産主義

インドネシアの民主主義化はまだ進行中です。首都ジャカルタでは、若い世代が政治的、司法的腐敗や汚職に立ち向かい、デモ活動を行っています。インドネシアは「私たち」を中心に考える世代から「私」だけを考える世代への過渡期にいます。親の世代にとって人生で重要だったのは、初めての自分の家を持つことでしたが、若い世代は「体験や思い出となる出来事」の経験を重視しています。

SNSで収集・投稿する情報(ジャカルタとその他地域での比較)

定量調査で、SNS・コミュニケーションツールで収集・投稿する情報について尋ねました。ジャカルタとそれ以外の地域では、情報量に全体的に差があり、商業都市・経済都市の特徴として、買い物・レジャー・お金に関することへの関心が高い傾向が見られます。
※消費者調査で地域比較をする際、今回の「ジャカルタ」と「その他の地域」別にベースとなる情報感度の差があることを理解することは、ファクトデータの読み解きに役に立ちます。

SNS・コミュニケーションツールで収集・投稿する情報
(ジャカルタ・その他の地域別)

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SNS・コミュニケーションツールで収集・投稿する情報(ジャカルタ・その他の地域別)

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都市部から地方に拡がる新しいライフスタイル

都市部だけではなく、全国にショッピングモールが建設されるようになると、インドネシアのライフスタイルも変化していきました。モールは買い物をするための家族向けの商業施設には留まらず、「スターバックス コーヒー」や「ザ・コーヒービーン&ティーリーフ」といったカフェで友達との時間を楽しんだり、仕事で利用したり、フードコートで家族と食事をしたりする交流の場として成長しました。

日用品のオンライン購入率、コロナ以前との比較

定量調査で、新型コロナによるオンライン購入率の変化を確認しました。

オンライン購入率は、民族別の差はほとんどなく、コロナ以降、押しなべて10ポイント前後の増加、ジャカルタとその他地域の比較では、その他地域が若干増加しています。EC関連のインフラ(通信、物流)の整備が遅れている地方でさえ、コロナ禍という特殊な状況下においてはECへのシフトが見られました。

日用品のオンライン購入率、コロナ以前との比較

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日用品のオンライン購入率、コロナ以前との比較

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以上が、インドネシアの有識者の意見を交えた、各世代が影響を受けた生活者の価値観・地域での違いです。本連載では、研究で得られたインサイトをベースに、購買行動、テクノロジーの影響、家族とのかかわり、社会からの影響などをテーマに調査を行い、定量的にその内容を検証していきます。

次回は、「生活者の価値観・地域での違い【タイ編】」をご紹介します。

定量調査の調査概要
調査地域: インドネシア全土
世代別回答者数: Gen1(n=54)、Gen2(n=211)、Gen3(n=3299)、Gen4(n=598)
※各世代で男女が概ね半数ずつになるよう割付。民族別の割付は行わず、自然発生ベースで回収
調査方法: インターネット調査
調査時期: 2019年12月
北島尚
株式会社マクロミル 海外事業開発ディレクター
米国フォーダム大学大学院修士課程修了。LVMHグループにてブランドマネージャー、PwCコンサルティングにて国内外の企業のマーケティング戦略プロジェクトに参画。その後、オグルヴィ&メイザーにて日本企業の海外ブランディングおよびマーケティングを支援するエキスポートプラクティスを起ち上げ、ジェネラルマネージャーとしてチームをけん引。現在は、マクロミルにて日本企業の海外市場における調査と戦略サポートを務める。

お客さまの課題・ニーズを伺ってリサーチの企画・提案を行います。
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