プロジェクト事例 2

マーケティングの上流から下流まで
一気通貫を見据えたソリューション開発

大量の行動データから価値観を推定

大きく拡大しているマクロミルのデジタルマーケティングサービス。テクノロジーの進展に伴い、データで捕捉できる生活者の行動が拡大し、生活実態の理解とマーケティング効果の評価が進化したことが背景にあります。しかしマーケティングの全体プロセスを俯瞰すると、データ活用はまだまだ拡大の余地が残されています。
近年、市場の成熟化やコモディティ化によって、マーケティングの起点が生活者のデモグラフィック属性だけでなく、サイコグラフィック属性(ニーズや価値観などの心理属性)にも重点が置かれてきました。
データで捕捉できる生活者の行動実態から意識・価値観を推定し、消費者理解からコミュニケーション、効果測定まで活用できる、『ものさし』となる汎用性の高いセグメントを構築すべき、という課題感からプロジェクトが発足しました。

アナリストとしての関わり

アナリストはプロジェクト全体の技能的主軸を担います。分析・解析アプローチの設計、実行、評価など一連のタスクを遂行することがミッションです。具体的には、保有する意識データや行動データの抽出・加工から、特徴量エンジニアリングによる効果的なデータの生成、統計的学習モデルの構築などです。
本プロジェクトにおいては、まずマクロミルが保有すべき汎用性の高いセグメントの定義と、意識調査での抽出方法についてリサーチャーと議論を重ねました。マーケティング論や先行研究を参照しながら、実務への活用を意識し議論する、ビジネス視点が求められるプロセスです。その後、意識データで構築したセグメントを行動データから推定するため、様々な統計手法を比較検討し、モデルの構築を行いました。モデル構築の過程は、最新の技術や事例を参考に試行錯誤を繰り返しましたが、試行量と成果が比例しない困難なプロセスでした。最終的には高い精度のモデルを構築することができましたが、手法の適用だけでは行き詰ってしまう事も多々あります。しかし、自社で調査協力者を抱えているため、柔軟に変数を取得することができ、試行錯誤の幅が広いのはマクロミルの特徴です。

意識と行動を捉えた生活者理解の深化

プロジェクト発足から1年の開発期間を経て、現代の生活者を捉えるセグメントを行動データから推定することに成功しました。
これにより、意識調査を実施しなくても、生活者の一側面を理解できるようになりました。今では様々なマーケティング課題を解決する、分析ソリューションの一部になりつつあります。
購買データや位置情報など、様々な生活者の実態データを持つマクロミルにおいて、開発したセグメントを付与することにより、付加価値の向上に大きく貢献しています。
今後はさらに、生活者のニーズや価値観が表出するカテゴリに注力し、消費者理解とコミュニケーション、効果測定を一気通貫できる『ものさし』の開発を進めていきます。