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【ベトナム】各世代の価値観に影響を与えた
政治・社会背景[有識者]調査レポート

マクロミルでは、グローバルで提携している有識者調査のパートナーのサポートの下
中国・タイ・インドネシア・ベトナムの大学・研究機関の学識者の協力を得て、
アジア4か国における生活者の価値観とライフスタイルに関する体系的な調査・研究を行いました。
今回はベトナムレポート第4弾として、ベトナムの以下の世代が影響を受けた政治・社会背景に関してレポートをお届けします。
●第1世代 ベトナム戦争世代(リタイヤ層) 1975年生まれ以前※以降「Gen1」
●第2世代 ドイモイ世代(ジェネレーションX) 1976年-89年生まれ※以降「Gen2」
●第3世代 ミレニアル世代(フリートレード世代) 1990年-99年生まれ※以降「Gen3」
●第4世代 ポスト・ミレニアル世代(ジェネレーションZ) 2000年生まれ以降※以降「Gen4」

今回のレポートは、学識者からの知見に基づいた仮説と分析をマクロミルが独自に実施した自主調査で検証するというスタイルで進めていきます。

ベトナム人の価値観変化に与えた政治・社会背景

政府の戦略は、社会的平等と引き換えに国民を荒廃から救い出し、ベトナムを活力のある国へと成長させました。戦争は国と人々の生活に荒廃をもたらしました。

1954年のジュネーブ協定によって第一次インドシナ戦争が終結した後、1956年の選挙で統合されることを前提にベトナムは南北に分断されました。しかし統合されることのないまま、ベトナムは1975年のサイゴン陥落まで長期に渡り内戦に巻き込まれました。この戦争の死亡者総数は96.6万人から380万人と言われており、ベトナムを荒廃させました。1976年のベトナム統一後に、政府は農業と工業の国営化を図り、政府の発展政策による集団化が徹底的に行われるようになりました。

ドイモイ(刷新)政策は、自由主義と所得不平等をもたらしました。

1986年12月に、保守派政府に代わり、改革派に新しいリーダーシップが誕生しました。国はドイモイ(刷新)と呼ばれる一連の自由市場改革政策を導入し、計画経済から社会主義的市場経済への移行を慎重に管理していきました。それにより、国は戦略産業の支配は堅持する一方で、農地や工場の私有化、経済の規制緩和、海外投資を奨励しました。ベトナム経済はその後、農業生産、工業生産、建築、輸出、海外投資の分野で大きく成長しました。

しかしドイモイ政策は、所得平等性や社会的の一体性にネガティブな影響を与えました。
  • 資本の不均等な分配は、特に海外投資の分野では顕著に表れており、農業地域と都市部・工業地域のライフスタイルの差を広げていきました。
  • 世界市場の登場で、激しく変動する市場価格に対応する術のなかった、コーヒーなどの商品を生産する農家たちは窮地に追い込まれました。
  • 輸出品生産のための土地確保のために実施された農地の区画整理は、小規模農家の土地を奪う結果となりました。

自主調査:ベトナムは平等社会?

上記の所得に関する不平等感とは、文脈は異なりますが、自主調査では男女間の平等感について尋ねてみました。全世代を通じて、男女は平等という意識は持っているものの、男性と女性で平等に関する意識が異なるようで、男性はより、平等と感じているのに比較して、女性は不平等と考えている割合が高いようです。

影響力の大きい政府の政策と戦略。

政府の政策は、比較的短い期間で劇的な変化をもたらしました。例:1世帯の子供の数を2人に制限する「二人っ子政策」や、人口密度のばらつきをなくすことを奨励する政策、暗記型勉強方法から批判的思考型へと移行させた国民教育政策、Global Innovation Index(GII)におけるベトナムのランク向上を目的としたイノベーション政策など。

現在政府によって展開されているその他の戦略には、次のような結果が期待されています。
  • 学生たちに見習いプログラムを奨励し、2022年までに現在10%である生徒の労働スキル習得率を35%まで引き上げる。
  • 労働生産性を引き上げて、未熟な労働力を減らし質の良い商品の生産をする。
  • グリーン消費の奨励:節水省エネを心掛け、プラスチックの使用を削減し環境を保護する。
  • キャッシュレス社会への移行。6月16日はベトナムではキャッシュレスの日に指定されています。

世代ごとの政治・社会意識と受けた影響

Gen1は保守的な考え方

  • 日常生活に安定を求める。危険は回避する。
  • 政治的なことは避ける。一方で、自分の収入や所得に関わる政策については知ろうとする。
  • SNSへの関心が高い

自主調査:社会の出来事に対する関心

Gen1は有識者調査の結果でもコメントがあったように、自分の生活に関わる「社会の出来事」には最も関心が高いようです。また、年代が下がるにつれて、社会への関心は下がっていきます。

日和見的なGen2

  • 集団的な価値は最優先。
  • キーオピニオンリーダーに従う。
  • 人と人の交流や繫がりと社会的価値観に左右される。
  • 十分な英語力があるため、海外で仕事をしたり、勉強をしたりすることが出来る。
  • ベトナムが閉鎖経済から開放経済に移行した時期に育ちました。きわめて厳しい経済状況の中から這い上がってきた世代であるため、変化には柔軟かつオープンではあるが、危険を冒すことに対しては非常に慎重です。

Gen3は「意識高い系」?

  • より外向的。社会的プレッシャーをよく感じる。キーオピニオンリーダーや世界のトレンドに従う。韓国、アメリカ、イギリスといった海外文化に影響されている。
  • 批判的思考能力により優れている。
  • 環境に対する意識が高い。

自主調査:キーオピニオンリーダーの言う事は良く聞く若い世代!

Gen3,4がロールモデル(あるいは尊敬している)として考えているのは、スポーツ選手や芸能人のようなセレブリティ。これらのセレブリティのSNSやメディアでの発言は影響力が高く、トレンドセッターとして位置づけられたり、商品購買にも影響を与えていると言われています(前号から)。

自主調査:ベトナム経済の展望に関してよりポジティブなGen3,Gen4

過去20~30年にわたり高度経済成長を経験したベトナム人は、今後の経済に対してもポジティブな意識を持っており、特に(苦労を知らない*)Gen3,Gen4は半数近くが「とても有望」と、答えています。
*「親の世代が経験した困難の時代は、Gen3,4にとっては、もはや映画の中の世界で、若い世代には想像もできない」(有識者コメント)

気ままでクールなGen4

  • キーオピニオンリーダーと西洋文化に強く影響されている。
  • 高学歴、英語に堪能。
  • 政治意識は持っているが、それに関して意見を言うことは好きではない。
  • 社会的問題は常に気に留めている。社会的、環境的に責任を持った行動を取る組織を好む。

自主調査:冷静に世の中を見ている若い世代

Gen4は現在の政治状況の延長線上にある将来を楽観視しておらず(とても有望とは見ておらず)、他の世代に比較するとシビアにみている。

自主調査:環境汚染に対する危機感を持っているGen4

ベトナムの都市圏(ハノイ・ホーチミン)は、東南アジアの中でも最も大気汚染が深刻な都市という現実があるがその現実に反してGen1,2は楽観的な見方、若い世代(特にGen4)は現実的でシビアな見方をしている。
以上が、ベトナムの学識者の意見をまとめた各世代の価値観変化に影響を与えた政治・社会環境になりますが、今後のレポートでは、本研究で得られたインサイトをベースに、購買行動、テクノロジーの影響、家族とのかかわり、社会からの影響などをテーマに自主調査を行い定量的にその内容を検証していきます。

自主調査:調査概要

  • 調査地域:ベトナム全土
  • 世代別回答者数:Gen1 n=160(男性 n=89, 女性 n=71)、Gen2 n=1,096(男性 n=470, 女性 n=626)、Gen3 n=1,445(男性 n=473, 女性 n=972)、Gen4 n=244(男性 n=100, 女性 n=144)
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査時期:2020年5月

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次回は、8月21日で中国レポート第5弾を配信いたします。

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