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中国における各世代が影響を受けた
経済背景および購買意識とは?

マクロミルでは、グローバルで提携している有識者調査のパートナーのサポートの下、
中国・タイ・ベトナム・インドネシアの大学・研究機関の学識者の協力を得て、
アジア4か国における生活者の価値観とライフスタイルに関する体系的な調査・研究を行いました。
今回は中国レポート第4弾として、中国の以下の各世代が影響を受けた経済背景・購買意識に関してレポートをお届けします。
●第1世代 50后(1950~59年 ※以降「Gen1」)
●第2世代 60后・70后(1960~79年 ※以降「Gen2」)
●第3世代 千禧一代(中国版ミレニアル世代 1980~1994年 ※以降「Gen3」)
●第4世代 95后(1995年以降 ※以降「Gen4」)

今回のレポートは、学識者からの知見に基づいた仮説と分析をマクロミルが独自に実施した自主調査で検証するというスタイルで進めていきます。

中国の急激な経済成長が人々の価値観に与えた影響:「中国の急激な経済成長は、生活の質だけではなく、中流階級の知性と教養の向上ももたらしました」

Gen1とGen2の生活および価値観に大きな影響を与えた経済事象は1978年に始まった改革開放でした。改革開放は、まず、農業が主体だった中国経済の改革から始まりました。1980年代に沿岸部に経済特区が設置されてからは、その地域に製造業が集中し、中国が世界の工場として成長するためのプラットフォームが出来上がりました。この政策では、外国からの投資を受け入れ、世界中の多国籍企業は合弁会社を立ち上げることで中国における操業を可能にしました。

1978年に、鄧小平によって始められた経済改革のおかげで一般市民の生活の質は間もなく向上しました。改革以前の中国は、ほぼ完全に労働者階級の社会でしたが、1980年代前半頃には新しい中流階級層が都市部に生まれ始めました。文化大革命の頃、市民が憧れた三大必需品は「自転車」、「腕時計」、「手動ミシン」でしたが、80年代前半には全世帯中の半分は少なくともこの三大必需品の内の一つは所有していました。80年代半ばにもなると、三大必需品は新しく「冷蔵庫」、「洗濯機」、「テレビ」へと進化していきました。

中国経済はほぼ二桁の割合で成長していき、1980年の3061.7憶ドル(2230憶ポンド)から2017年には12兆ドルになりました。これは40倍の成長率です。経済の成長とともに、8億人が貧困層から抜け出すことが出来ました。20年間成長し続けた中国は、近年ようやく成長に落ち着きが見えてきましたが、それでもまだその成長率は世界のトップクラスです

Gen1とGen2はこの経済政策の影響の中にいたのですが、Gen1は国営企業で働き、質素で堅実な生活をしており、その経済価値観は中国が豊かになった後でも引き続き根底に残っています。一方、Gen2は1978年の教育改革によって、大学進学への門戸が開かれたため、高い教育を受け、その後の経済成長の原動力になります。アリババのジャック・マーや百度のロビン・リーなど中国の新興メガ企業のファウンダー達はいずれも高い教育を受けたこの世代の人たちです。
世代的に隣り合う、2つの世代の経済価値観の大きな違いは、Gen1が「お金を稼いで、浪費をすることは悪」なのに対し、Gen2は「もはやお金を稼いで使うことは正しいこと」のような、隔たりがあるようです。

外国経済の流入により、外国文化の影響を受けたGen3

Gen3は、90年代に外資系企業や外国のブランドが次から次へと中国市場に参入し始めると、消費を含めた西洋の価値観を目の当たりにするようになりました。特に、食べ物、コスメ、ファッション、スポーツグッズなどの消費に関しては、他のどの世代よりも西洋の影響を強く受けた世代です。車を持つことの重要性や、服の着こなし、コスメやファストフード産業などは、自分たちの生活にすっかり定着しており、重要な消費アイテムになっています。さらに欧米のメディア、外国映画、コンテンツ、広告、看板、テレビ、雑誌、KOL(キー・オピニオン・リーダー)なども浸透しており、情報が豊富です。また、社会的地位をちらつかせるために、欧州のハイブランドの製品やiPhoneなどを持ち歩きます。

自主調査:Made in Chinaを支持する傾向は自国経済発展の影響?

有識者からの見解では、若い世代(特にGen4)が自国製品へのプライドが高く、ネオ・ナショナリズムが芽生えているという分析でしたが、一般生活者に実施したアンケート結果からは、工業製品と日用品に関してはむしろ上の世代のメイドインチャイナに対する指示が高い傾向が見られました。地域別の分析では工業生産地に近接する広州・成都が商業都市・政治都市の上海や北京に比較して、メイドインチャイナへの支持が高いようです。
クルマに関しては、若い世代の日本車に対する品質の信頼が高いようです。製品・ブランドのパーセプションは情報への接触量との相関が高いので、自国ブランドへの情報接触量が海外ブランドより高いことが要因かもしれません。(家電・日用品に比べ、クルマは外資系ブランドのマーケティング資源の投下量が中国メーカーより高いため、以下の結果が出たと推測される)メイドインチャイナブランドと接触情報量の関係に関しては、今後深堀して調査していく必要がありそうです。

どの国の製品が品質が高いか?に対する回答

「家電・ハイテク製品(スマートフォン、PC、TVなど)」(全体値での上位3ヶ国を表示)
「クルマ」(全体値での上位3ヶ国を表示)
「日用品(食品、飲料、化粧品、洋服など)」(全体値での上位3ヶ国を表示)

消費意識・行動の違い

Gen1

  • Gen1は、自分のことに関しては非常に質素。
  • 自分たちの人生の成功を達成できなかったので、子どものより良い未来に大きな期待をしている。子供のためにお金を使う。
  • 年配の世代の消費はどちらかというと生存型の消費です。新しい製品や新しい機能に簡単に手を出すことはしません。
  • 実績や歴史があるブランドを支持する「安全型消費」。

Gen2

  • 物を所有することが重要。全ての物を欲しいと思い、たくさん所有したがる。所有しているものを自慢したいため、物を所有することで満足をする。体験型のサービスや商品にあまりお金を使うことはしない。
  • 若いころ、食べる物や品物そのものが少ない時代を過ごしているため、物を所有することはこの世代にとって大変重要なことです。所有しているものを自慢したいため、あらゆるものを数多く所有したいと考えています。物を所有することで満足感を味わいます。

自主調査:モノ消費か?コト消費?

急激な経済成長を体験して、モノが買えるようになった上の世代(Gen1-2)から、モノが充足して所有することより体験型の消費に価値観が変わっていった若い世代(Gen3-4)の意識の違いを、海外旅行の楽しみ方を例にとって調べてみました。顕著な差がみられるのはGen2とGen3-4の差異です。Gen2が従来的な観光やショッピングを上げているのに対し、Gen3-4はお祭り、スポーツ、コンサートなどの体験型の消費が高くなっています。

海外旅行で楽しみたいこと(各世代の、全体値との差分を記載)

Gen3

  • 社会的なステータスシンボルとなるマイホーム、安定した職、車のような地位財を所有することで、社会的ステータスを表現したいと思っている。
  • ミレニアル世代は、新しいスタイルのプロモーションを好みます。新しい販売方法の一つに「福袋」があります。これは、例えば、中身が見えないように包装されている洋服や食品などの商品をお買い得な価格で購入する方法です。私たちはこれを確率的商品と呼んでいます。若い人たちは予測できない状況を楽しむことが出来ますが、年配の世代には受け入れられにくい販売方法であると考えています。
  • オンラインショッピングに関しては非常に長けている世代です。実際、2016年のデータによると、オンライン購入者の20%はこの世代なのだそうです。この世代はとても忙しいので、オフラインショッピングの時間をあまりとることが出来ないという事情もあります。
  • 教育、自己改善、エンターテインメント、体験や旅行、健康と健康管理といった自己啓発型の消費にお金を使います。スポーツジムに通うのを好み、フェンシングやボートなどの新しいタイプのスポーツを試したりします。
  • 所有をすることの目的は、使うことか、もしくは体験をすることにあります。そのため、体験に好んでお金を使います。また、生活の質にはこだわりがあり、ブランド品も好きです。

Gen4

  • 量より高品質を選ぶ世代。生活の質の向上を求めている。
  • モノの所有より体験を重視。
  • 様々なタイプの多くのメディアにアクセスできるようになるにつれて、この世代の人たちは自分のスタイルを主張したいと考えるようになりました。大手の有名ブランドにはそれほど興味があるようには見えません。社会のメインストリームから外れ、人とは違うことをしようとします。輸入品が中国国産品より質がいいと思っていない点では、他の世代よりも民族主義的な傾向が強いと言えます。
  • Gen1の「安全型消費」とは正反対で、実績や伝統があるブランドより、新規性(デザインや機能)に惹かれます。常に新しいものを模索する消費傾向。

自主調査:購買チャネル

購買チャネルの傾向に関してアンケートを行ったところ、上記の世代別の傾向に即して、若い世代のオンライン購入比率が高いことが検証されましたが、ここまではある程度予測がつく結果です。アンケートの内容は日用品に関してでしたが、有識者の分析によると消費全体からの比較ではEC購買の比率は全体で17%、2025年までに全体25%まで増えるという事でした。今回の自主調査では1級都市4地域での調査でしたので、高い数値が出ましたが、全土を対象とした全消費活動でみると、EC購買が占める割合は下がるようです。
しかし、最近の弊社のコロナ後の意識変化に関する定性調査(上海地域で87名にオンライン・マス定性を実施)で、コロナ発生前のEC購買比率とコロナ後のEC購買比率を比較すると、前後でECへの購買が40%から80%へ増加しているという回答が得られました。あくまで定性調査の結果なので、実態とは一致はしていませんが、生活者の感覚値としてはコロナの影響で購買チャネルのデジタルシフトが確実に起こっているようです。また、購買のデジタルシフトによってカスタマージャーニーも変化していることは想定されるので(製品カテゴリーによるが)、今後カスタマージャーニーの変化の動向も注視する必要がありそうです。

自主調査:買い物する際に重視する点

買い物に関する重視点は、それぞれが経験してきた経済背景の影響が見られそうな結果です。安全欲求の高いGen1は原材料、機能と価格を重視(質素で無駄な買い物はしたくない)モノ消費で所有型のGen2は原材料、機能と価格を重視(価値に見合ったものを所有したい)Tech SavvyなGen3,Gen4はネットでのコミュニケーション頻度が高いためレビューを見て賢い買い方をします。

前項でも触れた、上海地区でのマス定性調査によると、コロナ前後では購買するときに参考にする情報として、「これまでも更に多くの情報ソース・メディアから情報を収集する」という傾向が見られました。現在Gen3,Gen4での購買に関する重視点も、コロナ収束後のニューノーマルではより広い世代への購入重視として広がりそうです。

「家電・ハイテク製品(スマートフォン、PC、TVなど)」を購入する際に重視する点
「日用品(食品、飲料、化粧品、洋服など)」を購入する際に重視する点
以上が、中国の学識者の意見をまとめた各世代の価値観変化に影響を与えた社会慣習・制度になりますが、今後のレポートでは、本研究で得られたインサイトをベースに、購買行動、テクノロジーの影響、家族とのかかわり、社会からの影響などをテーマに自主調査を行い定量的にその内容を検証していきます。

自主調査:調査概要

  • 調査地域:北京(n=206)、上海(n=220)、広州(n=190)、成都(n=184)の各都市居住者
  • 世代別回答者数:Gen1(n=150)、Gen2(n=225)、Gen3(n=225)、Gen4(n=200)
    ※各都市および世代で男女が概ね半数ずつになるよう割付
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査時期:2019年12月
今後の配信スケジュールは隔週(金曜日)で月2回。中国、インドネシア、タイ、ベトナムのレポートを、テーマごとに順次配信していきます。

以下のような課題をお持ちの方におすすめです。ぜひご検討ください。

  • 海外調査をしたいが、仮説構築をブラッシュアップしたい。
  • 海外調査の結果の読み解きに、基礎となる情報が欲しい。
  • 調査の対象者・地域はどこに絞るか、悩んでいる。
次回配信は6月26日で「インドネシアの各世代の価値観に影響を与えた経済背景」になります。

マクロミルでは本研究結果を独自に有効活用することによって、お客様のマーケティング及びマーケティングリサーチ課題に対する調査企画・実査・レポート等の各サービス段階において、これまで以上に付加価値のあるアドバイスを行ってまいります。

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